*つい巨匠の作品を観てしまう『一枚のハガキ』

 自らの出征体験から生涯「反戦」を貫いた新藤兼人監督が、最後に撮った作品だというので、今までご縁の無かった作品を観てみることにした。
主演は豊川悦司大竹しのぶ。となると、人気があった作品だったのかもなと勝手に想像する。
 舞台は終戦間際、くじ引きで「戦地に赴く者」「内地での清掃部隊」になる者に分かれる。豊悦は戦地を免れるが、戦友の定造(六平直政)はフィリピンに。そこで彼は妻の友子から届いた1枚のハガキを豊悦に託す・・・
 これが物語の最初。定造の出征から戦死報告、村のしきたりで兄が死んだ場合、兄嫁は弟に降嫁。すぐに弟にも赤紙が来て出征。そして戦死。豊悦の方も自宅に戻ってみれば、嫁は実父と駆け落ち。これが中盤。当然終盤は豊悦が大竹しのぶに1枚のハガキを届けることになる。
 名前は何度も聞いたことのある新藤兼人監督だが、「う〜ん」と首を傾げること多数。監督として上手いの? ストーリーが良いとか、演技させるのが上手いとか、アングルが良いとかあるの? そもそも定造演じる六平直政が歳を食い過ぎている。40代はもう兵士(歩兵)としては歳を食い過ぎだろう。どう見ても50代が初年兵じゃあ無理がある。その嫁大竹しのぶも当然歳食い過ぎ。出すならもう少し若いカップルじゃ無いと。
 誰かが蒼井優を推していたが、戦争中の暗さ・陰を演じさせるのに彼女ほど適役はいないだろう。この映画だけを観て新藤兼人監督を評価することができない。とは言っても他の作品を知らない。

一枚のハガキ【DVD】

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