*『雪の鉄樹』(遠田潤子著)

もうすぐ本を読み終えそうなのにNEXTを用意してない時など、つい駅のコンコース歩いていて手近の本を購入してしまう。「この感動はホンモノだ。2016年度文庫ベストテン第1位」とあるので、見知らぬ女流作家本を購入する。metooには珍しい衝動買いのパターンだ。
 大阪弁で始まると戸惑う。女流作家戸惑い、未読作家戸惑いも含めて、戸惑い3乗。しかも30そこそこなのに「ごま塩頭」の主人公が、一昔前の高倉健並みに不器用で真摯な男を演じている。今時そんな男いるかぁ!?
 やたらキレて威張っているミドル〜年寄りには、イヤってほど会うぞ。いやホントにそういう輩と会うのはイヤっなんだ。まぁそこは置いといて、なぜにこんなに頭を下げ続けるのか、火傷の痕はなんなのか、中2の少年が急に反抗的なのはなぜなのか、あと〇〇日、って一体何が待っているのか?
 全てがなぞのまま徐々に解き明かされていくので、ミステリー感はある。しかしこれってミスなのか。帯にあるように「感動作」なのだ。今時は最初に謎解きしといては、読者は感動できないのだろうか。なんか皆、こんな感じの作りになってきてないか。
 愛情の欠片も持たぬ、しかし女はたらし込める男たちが数人出てくる。そんなもんかもしれない。あきらかに愛情不足でぐれてるガキンチョにはよく出くわす。父親は離婚してもすぐに新しい(大抵変に育った)女を見つける。metooがそういう人生を辿らなかっただけで、よくある話なのかも知れないな。全然羨ましくないけれど。
 本作あたりを、渋い役者で作れば、ラストシーンで泣けるかもな。

雪の鉄樹 (光文社文庫)

雪の鉄樹 (光文社文庫)