すっごく良い話を読みたい。作中の誰も死なずに。
反論はある。人が死ぬほどなんだから、そりゃあ良い話なんでしょ、って言えなくも無いけれど、大抵の本で人がバタバタと死んでいく。まるでコナン君が周りにいるようだ。昔読んだ『容疑者Xの献身』は面白かったし、『冷たい校舎の時は止まる』も良かった。良い作品は、死ぬ死ぬ。死なない作品でなんか無いか。そう常々思っていたので、普段は聞いたこと無い女流作家は読まないのだけれど、手にしてみた。
不思議に思うのは、女性で酒が強い人。作中の主人公はいつも飲んでいる。肝臓の大きさは身体に応じて女性は小さいだろうに、とも思うが実際同窓会で一緒になる女性は飲んでも飲んでも平気だ。あなたは女子高生時代からそんなに強かったの?
こんな描写も作品中ある。「精液のように味がしない。美味しいもまずいも無い。」とセックス後の行為の話が出てくる・・・えーっ!味しないのかぁー!? 不満はあるがその真偽を誰とも話できない。
主人公の女性には恋人・愛人、そして久しぶりに再会した大学時代の男の先輩が出てくる。もうとにかく恋人は可哀想だ。クリスマスも、プレゼントを買った後に、家には直帰せず飲み屋に行ってしまう。明け方まで飲んで帰ってくる話があるが、そんな人との恋人関係はいやだな。あとがきを書いてるのは村山由佳だが、「この話にはクズがいっぱい出てくる」と評論していたが、確かにその通りだ。
人が死なない面白い話を所望した。とりあえず人は死ななかったゾ。