*圧倒的に面白い!『忍びの国』

忍びの国 (新潮文庫)

忍びの国 (新潮文庫)

のぼうの城』も映画から先に入ったんだけれど、この『忍びの国』は映画館の予告で観て気になっていて、小説が先になった。映画はきっと、CGばかりで、(何だかなぁ−!)って事になるんだろう。
 面白い話ってのは、真実の中にビミョ−に盛ってるもので。この歴史小説も史実に基づきながら結構盛っている。歴史の素人さんも、多少囓っているmetooみたいな者にも十分楽しめる内容になっているのが嬉しい。
 ガイコクジンさんが、「ニンジャ」に「WOW!」とか叫んでいるのに、我々ジャパニ−ズがよく知らなくて果たして良いのか? 知っているニンジャって「ハットリくん」と「サスケ」くらいだろ? こいつらライバルだぞ。
 この作品では、「石川五右衛門」と、ニンジャの頭領にあたる「百地三太夫」も出てきて嬉しい。そしてのっけからニンジャワ−ルド全開で、のめり込める作品になっている。なかなかこういう作品には巡り会えない。
 作品は微妙に現代的で読みやすい。「嘘つけ」なんて、時代劇では絶対言わないだろう。殿様なら「戯けたことを」だとか、「戯けを申すな」だろう。この現代風が、とにかく読みやすい。かつて清水義範が「作家を目指すなら時代もの。なぜなら大物が皆ご高齢だから今後チャンスがある」と書いていたが、和田竜のような作家が出てきたことが日本文学にとって大変素晴らしい事だと思う。metooにしては、絶賛なのだ。