高倉健の遺作、映画館では観る気にはなれなかったが、日本を代表する名優に敬意を表して鑑賞した。旗康男監督の匂いは古き良き邦画の匂いもする。
富山から長崎平戸までの散骨の旅。高速とばして一泊二日、ゆっくり行けば二泊三日。しかし高速に乗る気配は見せず。しかも大阪道頓堀など繁華街に立ち寄る旅。ロードムービーになって行く行く~!
名作『砂の器』が、日本の美しい四季も映画に残したように、単なる富山の橋も背景に富山地方鉄道をバックに入れる。このために何時間撮影に費やしたのだろう? 雲海に浮かぶ備中松山城も美しい絵だった。このシーンは、この映画に本当に必要だったの・・・?
美しい絵と、豪華俳優陣は壮大な無駄にも思える。今回集まった俳優陣は高倉健への敬意か? ビートたけし、田中裕子、佐藤浩市、草なぎ剛、綾瀬はるか、余貴美子・・・浅野忠信なんかほんのちょい役。勿体ない。散骨の為に訪れる気むずかしいオヤジに大滝秀治(2012没)が出てきた時には驚いた。
そもそも高倉健なんかまだ生きているような気さえする。死んだのは知っているが大滝秀治が出てきて、高倉健と同じ頃逝った(2014没)のかと、奇妙な感覚に包まれた。関根勤が大滝秀二のマネが上手だったが、そんなことを知っている人も少なくなっていくだろう。昭和は遠くになりにけり、だ。
「ぽっぽや」あたりまで、高倉健らしさが出ていてよかった。本作の制作は高倉健ありき、で始まったのだろうが、残念だが初老の話で高倉健にも勿体ない話だったように思える。また、偶然の出会いで知り合った男と、その娘の話が途中からメインになっていくのだが、チョット無理はないか。もう少し自然な話にはならないものなかな。