*『幸せへのまわり道』

 原題は『A BEAUTIFUL DAY IN THE NEIGHBORHOOD』。なんちゅうタイトルなんだ。と、いうのもアメリカで実際にあった子ども向きの番組があって、それを元に作ったとか。
 子どもに絶大な人気を誇る司会者にトム・ハンクス。本作では助演男優賞でアカデミーにノミネート。むべなるかな。
 物語は雑誌記者のロイド(マシュー・リス)は「病気の母を見捨てて、他の女の下に走った父親ジェリー(クリス・クーパー)」をずっと許せない。姉の結婚式で父と再会するが、怒りにまかせて殴ってしまう。警備員に顔を殴られたロイドは、ケガした顔そのままで雑誌の取材で子供向け番組の人気司会者フレッド(トム・ハンクス)を訪ねることになる・・・
 ここから事情を察したフレッドによる、ロイドの心の再生物語が始まる。(なんでフレッドはロイドの心の傷が分かるの?)(そんな簡単には話は進まないでしょ!?)と心のどこかで囁くのだけれど、最近の映画はそんなことはお構いなしに、良い話にしてしまう。うん、確かに良いドラマなのだ。おそらくこういう親子で解決できない闇に染まっている人は、意外に多いのだろう。そういう人が見れば、「再生」のヒントになるかも知れない。・・・となると、若い人、特に独身者には共感できないんじゃないか。そもそもこういう映画を子どもが手に取るとは思えない。
 物語のあちらこちらに手作りのシーナリーが出てきてファンタジーっぽい。ここで鑑賞者の心をつかめれば、物語に感動し涙するだろう。因みにSONYの作品である。