*『はじめての文学 宮本輝』

 この『初めて~』シリーズはよくできている。活字が苦手、というティーンに読んでもらって、文学の良さを・文学の持つ力を、感じさせて欲しい、ともう10年以上前に感じたものだ。今頃は中高の図書室に置いてあるのかな?
 (そういえば宮本輝はもう読んでいたっけ?)いくつか拾い読みしても確信が得られない。美術館巡りの電車内読書に選んでみた。
 大阪近辺が舞台で、大阪弁で語られるものが多い。まだ戦後高度成長が熟し切っていない頃が描かれているので、(大阪やっぱコエェ……)ってシーンが多い。在日の方も、在日でも北と南の方との抗争も、出てくる。妙にリアルでこういう生々しい小説もたまには良い。コナン君のように毎回のように人が死んでいる作品もあるが、たまには誰も死なないで、必死に生きている市井の人々を描く作品にも出会ってくれ。