*「あるがままに」角松敏生

角松敏生

あるがままに

あるがままに

 その季節になると口ずさむ曲がある。この季節・・・昼は小春日和であったかなのに、釣瓶落としの夕暮れ時、雲一つ無い空が青から群青色に染まって西の空に一番星が輝き始める・・・

「夜が明けて行く 空の彼方から 金星の光 届いたら
すぐにも君の心へ一番大切な事を伝えよう
今こそ気付いて.
Run away from the lonely night 安らぎは 明日にはない
夜をこえて光る 人の痛みが解かる時まで

君は自由が欲しいから そう言って この僕を捨てて行ったけど
いつかは 楽しみのためだけの空しさに心をくもらせて行く それは自由じゃない

Run away from the lonely night あきらめきれぬ悲しみも 愛にかえて送ろう
君をいつか気付かせてあげる

朽ち果てた愛もきっと蘇るさ 全て許せば人は変われる.
Run away from the lonely night  すぐにも会いに行きたい
夜をこえて光る真実なら届け この想い」(夜を越えて)

角松敏生の1992年7月発表の10thアルバム。気づけば20年を越えた作品だ。横文字タイトルの多い作品群にあっての、「あるがままに」。それは丁度、氏が結婚・離婚でゴタゴタしていた時なのかも知れない。(この僕を捨てて行ったけど)こんなセリフが氏の歌詞に出てくるとは想わなかった。(ちなみに翌1993年活動を凍結した)

この曲では「夜明けの明星」を歌っているが、なぁーに同じ金星だ、構いやしない。この時期の明星ほど美しい物は無い。そしてこの歌を口ずさみ、同時にこのバランス良くできたアルバムを思い出す。
25周年でも盛り上がっていたオープニングの「さよならなんて絶対言わない」、これなんか、「あるがままに」のアルバムにありながら、角松サウンドが遺憾なく発揮されている。そこからの2曲目が冒頭の「夜を越えて」だ。そしてその思いは「君を二度と離さない」であったり、ラストの「あるがままに」に繋がって行くのかもしれない。
歌詞カードの最終ページに「If my music cannot change your mind, Music does no longer make sense to me」の一文がある。これは長く続かなかった年下の元妻に捧げたものなのだろうか。

「・・・遠く消え行く過去は今という未来を創った君と僕 そのもの
あるがままの“瞬間"をあるがままの過去とともにずっと愛し続けて行こう
あるがままの君とあるがままの僕をこのまま そっと愛し続けていたい」(あるがままに)
会社勤めの多くの人には、夕暮れの美しさに触れること無く、オフィスでまだひと頑張りの頃なんだろうが、今しか見ることのできない季節だ。
どうか(あるがまま)に、美しさを感じて欲しい。

REBIRTH 1~re-make best~(通常盤)

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