*「デッドエンドの思い出」(吉本ばなな)

デッドエンドの思い出

デッドエンドの思い出

似たような主人公がいつも出てくるのはどうしてだろう? よくは知らないので、彼女の実体験に近いのかな、なんて思って読んでいる。なんとなくいいなぁーから発展して、寝てしまうところが、実際の所20後半〜の女性の多くに支持されている原因なのだろうか。でてくる男子も、色に例えるなら無色、あって水色な感じだ。
最初の短編「幽霊の家」に出てくる岩倉君や表題作の「デッドエンドの思い出」の西山君なんかその典型だ。なんとなくそんな彼らに感情移入をしてしまうのだけれど。そして彼女の作品には必ず大好きな心に残る珠玉のフレーズが出てくる。それは例えばすっごく切なく傷ついた恋をしたことのあるものだけが共感できるフレーズなのだ。
あとがきで「これを書いてほんとうによかった」と述べているが、哀しいときに優しくなれる本である。