*『ホビット 決戦のゆくえ』

ホビット


 何の予備知識も持たず、13年年前寒い時期に「ロード・オブ・ザ・リング」を観てからの長い長い旅が終わると思うと、なんか観ながらも切なくなる。「スターウォーズ」と同じように、後日譚ならぬ前日譚を後から観ると、よく紡がれた脚本に感心する。(あれがこうつながって・・・)とワクワクする。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」も感心したけれど、このシリーズはスケールがでかくて登場人物にも感情移入しちゃう。
 今までほとんど無敵なエルフ達がこうも死んでいくのも驚きだが、本作の見所は、ドワーフの王、トーリンが巨万の財宝を抱えた瞬間に人が変わっていく様子だ。窮地に手助けした時に財宝を分ける約束も、火竜(スマウグ)が人間の手によって駆逐されても、有り余る財宝を分けようとはしない。あるのは猜疑心だけ。かつて火竜が語っていたように、財宝が人を狂わす。「俺は祖父とは違う」と言っていたのに。
 そこに自分たちの財宝を取り戻そうとドワーフと仲の悪いエルフ、人間、トーリンの親戚(もちろん彼らのことも信じず)、さらに中つ国の覇権を狙う冥王サウロンが放ったオークの大群が入り乱れ、バトルが多いのも本作の特徴。多くの主要人物が死んでいく。物語は主人公があくまでホビットだといわんばかりに、彼がホビット庄に戻っていくまで続く・・・そして60年後、ガンダルフが再び訪れるところでエンドマーク。また「ロード・オブ・ザ・リング」を観直してみたくなったよ。