*『キケン』(有川浩著)

 以前「雨の降る日は学校に行かない」を勧めてくれたJCが「これを読むが良い」と上から目線で勧めてきた。「有川浩かぁー。ちょっと若い子向けだよねー」と、多少凹みがちにやんわり拒否るが、気付いてないのか押しが強いのか「とにかく良いから。うちのおかんもすっごく気にいってたよ」と読まざるを得ない結果に。

キケン (新潮文庫)

キケン (新潮文庫)

 先週末から読み始めた。「キケン」とは「工科大学の機械制御研究部」の略称だ。ヲタク系に焦点を当て、アニオタなどヲタク層を読者ターゲットにした戦略は間違っていない。文中「部活」とか「クラブ」って表現にものすごい違和感。我々の頃はサークルと言っていた。多分今もそうだろう。小中高と大学が違うのはサークルが出てくるところ・・・でも、それでは本著のメインターゲット、小中校生に馴染みが無いからなのか? とにかく「研究部」だろうが「研究会」だろうが、部活じゃ無い、サークルだよ!(とか、言いながら「部室行こうぜ」って言ってたなぁ、当時(笑))
 そんなことはどうでも良い。内容は自分が中学生ならときめく世界だ。イラスト付きのジャケットも正直良い。JCはこの本もジャケ買いしたと言うが、彼女の琴線に触れるものがある(笑)。
5つの章だてからできているが、正直「機械制御研究部」の活躍が描かれるのは「ロボット相撲大会」だけ。あとは学祭のラーメン模擬店など、あまり「キケン」そのものに関係の無いエピソード。まぁだからこそ、一般のJC・JKにも受け入れられる余地があるのだろう。
 主人公がなぜに結婚後学祭に行かなくなったのだろう。最後の最後、それまでエピソードを笑って聞いていた奥さんが、「どうしても行きたい」と学祭に連れてこられる。卒業後10年ぶりくらいに、自分たちが作り上げた伝説の味のラーメンをおいしく食す。その後になぜに学祭に足が向かなかったのか、昔の仲間の行方は? それらが氷解する。
 そう言えば自分も学祭で店長やってたっけ。何となく学祭に足が向かない理由も。有川浩自身が、こういう経験者なんじゃないか、なんて思ったり。最初はガキンチョ向きかなぁ、って思って読んでたが、最後はイイ感じで着地したな。