*電車内のために『ホテルローヤル』(桜木紫乃)を持参

ホテルローヤル (集英社文庫)

ホテルローヤル (集英社文庫)

 何しろ、白馬から鈍行で東京まで帰る6時間の旅。登山で連れて行くのはつらい。途中捨てても良いかと思い、2冊手に取ったがやはり1冊だけにした。それがこれ。作者の彼女のことは全く知らないが「第149回直木賞受賞作」とあったので手にしてみた。問題は3時間もかからず読み終えたこと。もう1冊持参すれば良かった。
 釧路のラブホテル・・・それも廃ホテルになったところから、第一話は始まる。実際色んな地方を走っていると(こんなところに・・・)ってとこにラブホはある。ネーミングも(まっとうな)ものもあれば(ギャグか!)と思うものもある。そしてまた廃ホテルもいやっていうほど見てきた。釧路とかの地方都市の人口流失はハンパなく、本書を読まなくても(どこも営業はうまくいってるだろうか?)と心配になる(と言ってもどうしようもないが)。
 冒頭の「シャッターチャンス」は、女性だからこそよく書けてるなって思う。「実家に顔を出しておいた方が良いかな」と男が言うシーンだ。そして5作目の「せんせぇ」。なるほど、こういう続きに持ってきたのか。この作品に出てくるJKはどこにでもいるような気がする。こういうしゃべり方をする。ニュースになるとスキャンダルになることも、背景をえがくと実はこういう抜き差しならない状況があるのかもしれない。自分がこういう状況になったなら、美しい釧路湿原が眺める、うら寂しいラブホで衝動的に死を選んじゃうかもな。(これが都会の片隅なら思わないだろうけど) 


裸の華

裸の華