*よく目にする村山由佳

 女流作家をあまり読まない人だが、本屋であまりに村山由佳を目にする。ちょっくら読んでみるかと手に取ったのがデビュー作「天使の卵」。のっけからテレる。満員電車車内の描写シーン。このベタな展開は何なんだ? 
 一応、父の精神障害・実質母子家庭・彼女現役合格自分浪人などが散りばめられているが、読んでいてテレる・・・ってか、恥ずかしい。
 主人公の僕は因みにチェリーボーイ。好きになった人とめでたく結ばれるわけだが、あっさり彼女がイク描写も、う〜ん何だかなぁ。「そんなもんだろうか!?」
 もっと初めての時って、違うんじゃ無いのか? ちょっと経験値の無い(または少ない)人が、伝聞・想像で書き上げていないか。何か高校生文学部(とか文芸部)の部誌を読んでいるようだ。読んでいる女子は恋にときめき、男子は多少ボトムスのポケモンもっこりするのかもしれない。
 解説を読む。何と村上龍じゃないか! すばる新人文学賞受賞の際の、審査員のお言葉が、ずいぶんと的を射ている。「恋愛小説はこんなもんでしょう」と、言われればそうかも知れないとも思った・・・(阿刀田高) よくこれだけ凡庸さに徹することができると感嘆させられるほどだが、ひょっとすると、そこがこの作家の或る才能かも知れないのだ(五木寛之
 私が感じたことをそのまま書いている。だからと言って、中高生にはそれほど悪くない。何歳の時の作品なんだろうか。ファンの人、多少ごめんなさい。