*『冷たい校舎の時は止まる(上)』

 辻村深月の作品で、何とか賞受賞、タイトルもバッチシ・・・読まない理由は上下巻、けっこー長い。それでも同じ職場の若い子が読んでると、先を越されたと少し悔しい。今上巻。不思議な物語なんだが、途中から先が読みたくて仕方ない。
 誰が自殺した人物か。8人の登場人物のうち、一人が自殺した。これは作者のミスリードだろう・・・というシーンも多い。なぜか著者と同じ名前の辻村深月(こんな使い方って、ありなの?)。気が優しい充に告白する娘・山内のシーンも良い。1年の時同じクラスで、たかだか消しゴムを忘れた彼女に貸してあげた。先生が来る前に、隣町の高校バスケット部主将が自分の彼氏だと楽しそうに話しかけてきた話。その山内が充に告る。
「そういうことが、世の中にはあるのだ。充は、胸の奥に痛みを覚える。」この文章が良いね。なんだか青春時代に悩んだ答えがここにはある、って感じだ。
 この本(ミステリー?)にはきっと、どんでん返しが待っているだろうから、あるとしたらどこで読み間違えているのか。
 清水、という特待生、学年1位、おそらく東大に受かる力があり、かつ美術コンクールに出られる才能を持った娘が出てくる。この子の悩み方が、凡人の私たちには分からない構造で、それを説明してくれている。(あぁ、そういいうことなのか)(天才に悩みは無いのかと思えば、彼らも大変なんだな) こういう本に出会わないと、一生分からなかったかもしれない。
 さあ、下巻に突入するぞ!

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)