- 作者: 西加奈子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/10/06
- メディア: 文庫
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なんとも不思議な本だった。上巻で、よくもまぁ女性のクセして少年心を看破しているもんだと舌を巻いた。ティ−ンの少年が抱える心の問題をよく描いていて面白い。何しろ登場人物のキャラが立っている。すぐに読み切り、中下巻を買い求めた。しかし裏表紙の粗筋を読むだけで、とてつもなくあり得ない状況の変化が分かるじゃないか。「サトラコヲモンサマ」は神格化してビルが建つ、姉は前衛芸術家になる、主人公歩はヤリまくっている。すると都内の大学にもヤリまくる女性に出会う。もう何が何だか・・・怒濤のような中巻なのだ。
しかし一転下巻は暗くなる、美人になった姉が急に悟りを開き歩の未来を暗示して切り拓いていく・・・ってのは、いくら何でもそんなことはないだろ−。まぁ父親が出家するのも、年老いた関係者が死んでいくのもむべなるかな。だけどいくら何でも、あの姉があんなにしっかりした発言できるか−!?
とここだけ違和感で、あとは下巻に始まる、壮大なスト−リィに圧倒されるのだ。解説の又吉大先生も述べていたが、この面白い作品の中に「家族・人間関係・アイデンティティ・マイノリティ・進行・芸術・社会的な出来事・ジェンダー・恋愛・言語・コンプレックス・表現」などが含まれ、それらが「人生に決定的な影響を与えかねない重要な主題が複合的に重なり影響を及ぼしあっている」すごい作品だった!と、最後に気付くのだ。もうこれはノベルではなく、「サ−ガ」だろう。
職場にいけば仕事をこなすだけ、帰宅すれば残りの仕事などルーティンを片付け早々に寝床に。そんな毎日だが、行き帰りの通勤途上で読む、西加奈子が、とても楽しみだった。その楽しみが今日無くなったのは、少し寂しい。
- 作者: 西加奈子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/10/06
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- 作者: 西加奈子
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