*横山秀夫、プロは上手い!

さすが新聞社記者を経ていただけあって、警察のことも詳しい。こんなの素人には書けない。事情が分からないもの。ただ、詳しいだけ、ってことじゃなく、文章が上手い! さすがプロだと思う。色々唸るフレーズはあるけれど、
「一般的な刑事の構えを「執念」「職人」「プロ根性」の類で表現するなら、彼らに共通するのは、「情念」「呪詛」「怨嗟」と言った禍々しい単語群だろうか。田畑は事件で食ってきたが、彼らは事件を食って生きてきた。そんな差ではないかと思うことがある。」(「囚人のジレンマ」『第三の時効』収録)
このフレーズのために1冊の本ができる! っていうフレーズが小説にはある。彼の場合にはしかし、そういう凄いフレーズが溢れている。これでは普通の作家が敵うはずはない・・・・また彼の小説では脇役にもどんどん息吹を吹き込み個性を引き出していく。だから続編を読んでも懐かしい気分になる。そんな作家だ。

第三の時効 (集英社文庫)

第三の時効 (集英社文庫)