*青の炎(貴志祐介著)

高校学園モノである。なぜか学園モノは純情だろうが、ヤンキーだろうが、読んでいて恥ずかしくなる。微妙な空気がどこか違うのである。主人公の周りをうろつく女子は間違いない、主人公を好いてるし、現代図書ならキスだけで終わることも、まずないだろう。全てが決まっている。まぁそんなんはどうでもよろしい。
本書は完全犯罪に挑む、高校でもかなりランクの高い(まぁ30歳くらいのコモンセンスは身につけている!)少年の話である。止むに止まれぬ事情からの犯罪故に、どこかで応援している自分がいる。できることなら逃げおおせ!
しかし犯罪は必ずどこかでほころびがある。主人公は思う。(なぜにこうなってしまったのか? あの時証拠を高校のロッカーに隠していたなら? 被害者が競輪場で些細なことでケンカして死んでいたなら? etc・・・・) 様々な(if)に思いを馳せて、時計を巻き戻したいと考えるのは誰でも同じである。恋人との離別にしても、夫婦仲もしかり。人は後悔しながら生きるのである。
その辺がうまく描けている。鎌倉から江ノ島に向かうR134は、あまりにも知り尽くしている道路なので、小説中の情景がありありと浮かぶ。地方の方はTVでオンエアするR134を思い出しながら、そしていつか必ずそこをドライブすると思って読んでみて欲しい。

青の炎 (角川文庫)

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青の炎 廉価(期間限定) [DVD]

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