本の裏書きに「あなたは騙される」「読後にもう一度読み返したくなる」と書いてある小説があると、ついつい手に取ってしまう。本書は主人公紗英が不妊と夫の浮気に悩み、彼女の一番の心のよりどころが育児中の奈津子で、その二人の変わった友情を軸に話が進む。そしてやがて殺人事件が起きる。それも中盤で。犯人も分かっている。なのにどこで騙されるの?
前半は女子同士のよく分からない友情や、子どもさえ産まれれば、あとはみなハッピー!みたいな、一昔前の価値観丸出しで違和感ばかり。読むの止めようかと何度も思う。
後半、あぁそういうことだったのか、だから読んでる最中に何か違和感感じていたのかーと気づかされる。筆者は読者に気づかれないように、ヒントをばらまいていたのだろう。しかしなんとなく違和感は残る作品だった。