*新井素子『おしまいの日』

おしまいの日 (中公文庫)

おしまいの日 (中公文庫)

 彼女の作品を読むのは初めてだ。昔「吾妻ひでお」と何か本を書いていなかったか? それとも二人は夫婦なのか? そんなことも知らないが、本のカバー後ろにある粗筋とタイトルに惹かれ手に取った。ジャンルはサイコホラー小説だと言う。
奥付が2年前なので、吾妻ひでおと関係のある人は別人なのかと思った。でも読み終わると、この話は20年ほど前の「終身雇用」があって「携帯」が無かった頃の話だと気づく。このままいけば過労死だよなぁ、よくこれで夫婦生活が続くなぁ、と思う夫婦の話で、その奥さんと高校時代仲の良かった女友達夫婦が少しだけ絡む。夫の帰りを夜の何時でもご飯を食べず寝ないで待ち続ける奥さんが少しずつ壊れていく話。そして「おしまいの日」がくる。何? おしまいの日って???
 気持ちの良い話では無いのだけれど、「おしまいの日」に向かってどうなるの? 自死?失踪?殺人? などと思うと続きが読みたくなる。おしまいの日が来てもその後はある。さらに後日談もある。だから捻りはある。
 彼女の他作品を知らないので何とも言えないが、少し文体にクセがある。自分的には少し違和感があった。