*今更・・・『いちご同盟』(三田誠広著)

いちご同盟

いちご同盟 (集英社文庫)

いちご同盟 (集英社文庫)

ティーンでいる間に読んでおくべき本が何冊かある。そんな1冊だ。
自分はタイトルの「いちご」が「苺」なのかと思い、今まで正直読められ無かった(爆) なんだ、もっと早く読んでおけば良かった。思春期の、あの心の脆さ、はかなさと、どう向き合って、どう内容を料理していくのか? これこそがプロの作家の醍醐味だろう。これを三田氏は堂々とクリアーしている。あなたが男子読者ならば、主人公北沢良一と同じ視点に立って、この物語を旅することができるだろう。
こんな文章がある。「自殺というものが、一種の病気だとすれば、この病気は伝染する。ウィルスや細菌で伝染するのではない。言葉が、病気を伝えるのだ」
一方で生きたいのに明日が見えない、重傷の腫瘍で、既に足を切断している少女・直美がいる。その子と幼なじみのスーパースター徹也との3人の友情と、受験に揺れる思春期を、甘く・切なく描いている。
読後、やり切れなさは残る。残るとしたら、きっとあなたが作品に浸かりきった証拠だろう。こういう悩みを抱えているティーンは、ヤマほどいるのだろう。今は苦しいだろうが、こういう悩みを抱えずに大人になった人と、どちらが心の奥底に多くの襞を持っているだろうか・・・?
未読なら、読むべし! 若者よ!