*「死の記憶」トマス・H・クック その2

死の記憶 (文春文庫)

死の記憶 (文春文庫)

 今までのクック作品の中では一番面白かった!「夜の記憶」とかはマニアックすぎてスティーヴン・キングかぁ!? とも思ったが本作は謎があちこちにちりばめられ(普通に考えれば、父親が一家惨殺の上、高飛び・・・それ以外に考えられない)、ミスリードのようなセンテンスも見受けられる。一見近親相姦手前にも見える娘と父親。家族で過ごした一夏のバカンスで知り合った年頃の男の子と夜中に抜け出し、騎乗位でやってしまう娘(と、それを茫然と訳も分からず隠れ見してしまう9歳の主人公、とその反対側で怖い顔で見続ける父親)などが出てきて、この殺人の一番の謎『動機』が定まらない。
 一方で44歳になった主人公の家庭はどんどん崩壊に向かう。主人公が一言早いうちに打ち明けていれば修復できるだろうと思えるのに・・・・物語はゆったりと90%以上進む。
 が! そこから残り10%を切って唐突に物語はあらぬ方向に進む。この結末は予想できるのだろうか・・・? 「このミス2000年 第2位」は伊達じゃ無い! これは読んで損は無いねー
このミステリーがすごい! 2013年版

このミステリーがすごい! 2013年版