名作『夜のピクニック』以来一目置く作家。その後『蒲公英草紙 常野物語』なども好感が持てた。そして本作。帯の「警告! 訪問者に気を付けろ」の一文が余計に興味をそそる。283頁の本作だが、午後の一時で一気読みできる。映像化がどれだけのギャラを引き出すか知らないが、映像化を考慮に入れたような(丁度2時間サスペンスで終わるような)作品であり、映像になれた若者には大変読みやすいものになっている。
一方で恩田陸を期待して読んだ自分には、ちょっと肩すかしをくらったように感じた。ミステリー仕掛けに違和感がある。はたまた終盤に出てきた役者(彼が探偵役になって謎を解いていく)が、バタバタっと事件の謎を明かしていくからかもしれない。何となく名探偵コナンがそばにいるような感じだ。いや、読みながらなぜここに毛利探偵もコナンもいない?おかしいじゃない?と思うほどだ。もう映像化されているかもしれないな、この作品は。
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2012/04/12
- メディア: 文庫
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