*『Pの密室』(島田荘司著)

  読む本がなく、手に取った初めての島田荘司。帯には「密室殺人」「あの御手洗潔の幼少時代が……」とあって、シリーズものに御手洗探偵が絡んでいるんだと知った。知らんけど。
 あとがき読めばシリーズ第13弾(らしい。全然知らん)。現在は一流大学で教鞭を取っている御手洗少年の、幼稚園時代の事件(鈴蘭事件)と小学生になっての事件(Pの密室)の2作品が掲載されている。
 時代設定が古い。昭和30年頃の話だ。警察の捜査も粗い。ルミノール反応も採用されていない。だけれど大学教授の家系の御手洗少年にはそのくらいの知識は当然ある。謎解きをしているときは、サッカーとボードに乗らないコナン君だ。
 「トリック」ありきで、あとから登場人物や物語を当てはめている感が半端ないが、御手洗少年のデビュー作の頃はきっとそうではないんだろう。人気シリーズは後半続かないが、本作では御手洗少年の同級生を登場させ、過去の解決事件を回顧する、そんな設定になっている。主人公に魅力があるので、デビュー作を読みたくなったぞ。図書館に置いていないかな?