*「思わず微笑む瞬間・・・」

宮崎辰

 映画の帰り道、お母さんがまだ小さな子を遊ばせているんだよね。遊歩道のレンガでできた垣根を歩かせて(危なくないのかなぁ、それに寒いし)と心配していると、私の斜め後ろの男性が近寄って「待っててくれたの?」と、お母さんに。すぐにその娘さんが「パパ!」以外の言葉は、まるで愛犬が喜びの声をあげているような嬉しそうな声で、パパの手をぶらさがるようにつかんでて、思わず微笑んでしまった。
 その日の夜はずいぶん久しぶりにNHKの「仕事の流儀」を偶然に見た(そもそも月曜の番組だとも知らずに)。その回は三つ星のフレンチレストランのメートル・ドテルを職とする宮崎辰にスポット。彼は、メートル・ドテルの腕を競う世界大会で、日本人初の世界一となった人。番組の最後に、このレストランでプロポーズをするカップルの男性の依頼で最高の瞬間をプロデュースする・・・・
 それが無事に成功したときに、「最高に幸せの瞬間に立ち会えたこと」「一緒にその瞬間を創り上げたこと」喜びを感じている宮崎さんの姿に、やはり微笑みたくなる。
 たぶん人類の何%かは、そういう瞬間を共有する仕事が大好きで、逆に何%かは、まっぴらゴメンだ!って思っているのだろう。自分の場合前者で、レストランでも給仕の仕事は何年もやっていた。今でも1日ほんの数時間なら、こういう仕事や、バーテンダーのような仕事はやってみたい。できれば一流のホテルとかで・・・・
http://www.nhk.or.jp/professional/2013/0401/index.html