*「この国のかたち」(司馬遼太郎)

この国のかたち〈6〉 (文春文庫)

この国のかたち〈6〉 (文春文庫)

あらためてこの国の国民的作家の作品を読んでみる。面白い。そしてこの人の博識と交友関係に驚かされる。さらに氏の語り口だ。読んだことの無い人は(騙されたと思って)読んでみると良い。自分がどれだけ独善的に生きてきたかを思い知らされるだろう。
 全6巻。しかし読み始めれば1日1冊は軽い。日本がドラスチックに変化してきた90年代。しかし氏が逝去された以後の日本の方がさらなる変化(悪い方に)をしている今読んでも決して色あせない。
 例えば江戸時代に「藩」があったのだが、大人でも意外に「地方分権制」だったことを知らない人が多い。そして藩ごとに全く違う特色を有していた。クリントイーストウッドが「硫黄島二部作」を作り上げたとき、盛んに栗山中将を褒め称えていたが、文化放送武田鉄矢・今朝の三枚おろし」でも放送していたとおり、彼の故郷は、あの「真田昌幸」の信州・上田藩である。そのことを硫黄島攻略後に知ったアメリカ軍は、研究が足りなかったと後悔するのである。それほど(今では出身県なぞ後顧にもしないが)大事なことなのである。しかし今の日本人はそのことを知らなすぎる。若者よ、読め! 「知らなかった」ことを「知れ!」