*久しぶりに・・・「ソフィーの選択」を見直す

Meryl Streep

アカデミー賞常連のメリル・ストリープ。この年のアカデミー賞授賞式で主演女優賞の発表で「academy goes by・・・Meryl Streep!SOPHIE'S CHOICE」とプレゼンターが言ったが、「SOPHIE'S CHOICE」の原題は奥が深いと思った。
 物語は奇妙に進む。渡米から半年足らずの女性。腕には収容所暮らしを証明するタトゥーのナンバリング。マルチタレントの生物学者。そして語り手の若い南部出身の青年。物語の進行と共に、収容所の悲惨さが伝えられていく。しかしタイトルの意味がホントに分かるのは物語のラスト、そして一気にクライシスへと突っ走る。
 戦争で地獄から何とか生き延びた者たちにも、悪魔の呪いは手を緩めずに襲いかかり、結局地獄へと引きずり込む・・・戦争の悲惨さを呪わずにはいられない。
 背景が暗闇だけの中で人生の暗部を語るメリルの演技はすごい。そしてまた、愛する者を全部失って生き続ける女性と、強制収容所暮らしのやつれきったみすぼらしい女性と、大学教授の娘として不自由なく暮らしていた美貌の女性と、幾つもの顔を演じたメリルのすごさ。彼女と言う女優を手駒にして、最高のシナリオを有したときに、監督が渾身の一作を創り上げた、そんな作品だ。間違いなき、名作の一本でしょう。