＊「レイクサイド」（東野圭吾著）

レイクサイド (文春文庫)

　もう数年前の作品で読後にTVで映像化されているし、主役に薬師丸ひろ子。内容が「Ｗの悲劇」に似ているし、「私が殺した！」と叫ぶシーンなどは、「Ｗの悲劇」のオマージュになっているとも言う。それは興味深いな。
　作品は東野圭吾作品としては、洗練されてない感覚がする。会社の部下で愛人が湖畔の別荘に尋ねてくる設定も陳腐な感じ。（当然殺されるよな･･･）と誰もが思う設定で（やはり）殺される。その後の展開にも無理がある。
　（一体何だよ、これ？）って思うのは中盤まで。殺人の真相、動機などはさすが百戦錬磨の東野圭吾、そこらの素人には手が届かない。それに加えて人間の細かな機微に触れて、人間を感じさせるのが氏のすごさなのだ。今回もラストにそれを持ってきて、読者に（うーん）と唸らせる。長くない作品。何回かの通勤時間で読み終えることができるだろう。