*やっと観た『真夏の方程式』

小説は早々と読んだが、東野圭吾は「容疑者Xの献身」をピークに少し落ちている(とは言え、もちろん全体的にレベルは高いのだけれど)気がして、映画はパスしていた。東野圭吾にすれば、湯川准教授のような稼げるスターを何枚か手中にしており多少気が緩んではいないだろうか。(そんなこともないだろうが)
 映画の序盤は少し退屈。恭平(山�啗光)や成実(杏)の配役も、ちょっと微妙。だが花火の当たりから細かいシーンが思い出され面白くなってきた。父親役の前田吟がさすがベテラン、細かい機微を演じさせれば、何気ないシーンが、あとでじわじわ効いてくる。そもそも東野圭吾は「人間味溢れるサスペンス」を書かせたら当代一の作家だ。中盤からは映像の方が原作を上回っているかも知れない。例えば仙波の自宅から眺める玻璃ヶ浦の海が、成実のブログと同じ光景だと気づくシーン。二人の関係が、繋がっている・・・!と予想させるシーンである。
 ところで、「玻璃ヶ浦駅」が凄く気になってググってみれば、伊予鉄道高浜線にある「高浜駅」(愛媛県)らしい。鉄道のシーンはどれも美しく旅情を誘う。
 もう一つ、イヤな女を演じた西田尚美。最近はNHKお笑い番組「LIFE」でいい味を出している。どうもそちらのイメージが先行してしまって、そこは映画にのめり込めなかった・・・(笑)