*「重力ピエロ」(伊坂幸太郎著)

重力ピエロ

重力ピエロ

 以前映画で観て大層良かったので読んで見た。伊坂幸太郎は好きな作家なのだが、主人公の類型が似通っていたり、舞台が毎回仙台なのでたまには雪の降らない地方都市でも頼むぜ!って思ったりでご無沙汰になることがある。
 「春が二階から落ちてきた」で始まる映画はインパクトがあったが、小説でも同じだった(当たり前かっ!)。映画に岡田将生を配した制作スタッフにまずは乾杯!だな。パッとしない主役に加瀬亮っていうのもなかなか良いかも。復讐劇にDNAなどの最新科学を取り入れながら、しかし親子の繋がりを目立たぬようにメインにおいているところなぞ、伊坂作品の中でも大好きな作品になっている。
特に終末の「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」が良い。
このフレーズで、世の中の解決できない不条理に対しての怒りやら解決できない苛立ちを、重い荷を降ろしてくれた感じがする。このフレーズありきでこの小説が作られたとしても不思議で無いな。映画も小説もどちらも良かった!珍しい作品です。
映画「重力ピエロ」photo book

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