*『イエスタデイ』

タイムマシンあるいはパラレルワールドに一人行くことができたなら、ヒットする曲を先に発表しちゃおうとか、スポーツクジで大当たりしちゃおう(これはバック・トゥ・ザ・フューチャー2であったね)とか、人生の大転機(失敗した恋とか結婚とか就職とか)を乗り切っちゃおうとか、荒唐無稽なことを考えちゃうよね。
 そんな誰でも考えちゃいそうなネタを、ビートルズでやっちゃおうというのがスケールがデカイ。そしてそこに一流の脚本家と監督を用意する・・・ついでに本物のエド・シーランまで出てくるからリアル感が増す。そしてあくまで路線は心がジ~ンと温かくなる「ラブコメ」。『ラブ・アクチュアリー』の脚本書いたリチャード・カーティスだからね。薫堂さんはこの人が書いた作品だから楽しみにしていたといっていた。監督は『スラムドッグ$ミリオネア』などのダニー・ボイル。今回の主人公もイケてないインド系イギリス人が主人公。インドに何かこだわりがあるのかな。
 多少人並みにビートルズのことを知っているのでクスリと笑わされるシーンが幾つもあった。一方、もっと知ってれば・・・ということもいっぱいあった。例えば個人的に大好きな「エリナリグビー」の歌詞。主人公は歌詞の細かいところが思い出せない。「米粒を拾うんだっけ・・・?」「編み物していたんだっけ・・・?」 その歌詞に合わせて映像では刺繍をしたり米粒を拾っていたり、マッケンジー神父が誰も聞かないお説教の言葉を考えていたり。歌詞が思い出せなかった「ミスターカイト」は歌詞がメチャクチャだと、パラレルワールドに紛れ込んだ二人から指摘を受けたり。
 嬉しいことは有名人には成れなくて船乗りとして人生を過ごしたジョン・レノンが78歳で生きていたり。またこの世界では「ビートルズ」と「オアシス」が存在しない(ストーンズはいる)。ペプシはあるけど「コーク」はない。映画ではビートルズgoogleで検索すれば「甲虫」で毎回出てくるし。
 「ビートルズの作品だってばらすのか?」「真実を知っている人から脅迫を受けるのか?」「今回の行動が影響して世界が変わるのか?」「年下の元マネとの恋は叶うのか?」色々な映画のもって行き方があっただろうが、前述のように、この作品は「ラブコメ」のくくりなのだ。その辺がビートルズファンには物足りないかも知れない。私は十分楽しめましたが。

 

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