*『ファーザー』

   本作で、アンソニー・ホプキンスは昨年の主演男優賞を獲得。とにかく本物の認知症患者じゃないかと思えるほど演技が素晴らしい(演技に見えないのだ!オスカー獲得も順当!)。そして、認知症患者からみると世界はこう見えるんだ、という新しい視点で作られているので、映画も素晴らしい。 
 怖い、見た人の中で、ある年齢以上の人は、いつか自分もこうなったら・・・と、考えるだろう。怖い怖い。怖すぎるのだ。ある意味ホラー。こんな状態で独居老人だったらどうするのだろう・・・? 映画では介護人が付き添ってくれているけれど、ほぼマンツーマン状態。認知症になったらこんな感じで、時間の前後や空間認知・娘の顔さえ区別できなくなるんだよ、と映画ならではの感じで表現している。脚本もうまい!
 ところでアルツハイマー治療薬、開発できたら大ヒットだろう。早くできたら良いな、自分の時には間に合うのかな?
 若い人はまだ実感できないだろう(但し三世代同居で痴呆老人がいると、映画のような感じなのかな・・・?)。周囲の人達はイライラしてつい手が出ちゃいそうだけれど、映画の中では殆ど良い人が多く出てくるので救われた。痴呆と無縁で生きられると良いな。