*『バッタを倒しにアフリカへ』

   前野ウルド浩太郎著 大学院出たけれど、教授のイスってそれほど空いていないから困った困った。院卒がブラック化して久しい。それなら無理して高校や大学など行かずにドカタや左官やって、苦しくなったらナマポ受けたた方がよくね? そんな声も地元から聞こえる。
 准教授・教授になるためには「論文」出してナンボ。これも聞いたことがある。その辺の裏話をじっくり聞けるのが本著の一番の長所である。
 私はてっきりアフリカに大発生する蝗の大群を完膚なきまでに皆殺しするスト-リィと思って読み進むがさにあらず。そもそもほとんどバッタに出会えていない(著者がアフリカを訪れた時は雨季が無く、それゆえ緑が育たず、蝗が発生せず、ってからくり)。最後の最後に蝗が現れるんだが、著者が撲滅のために何をしたかは全く不明、著者の続編に(恐らく論文にするがゆえに、単行本・新書では著すことができないと好意的に考えた)載るらしい。それなら安心だ。地球上に蝗の大群はもう二度と発生しないのかもしれない(そんな事は無い!)。
 著者は蠍に噛まれたり、ハリネズミと共にノミに数カ所刺されながらもアフリカに留まって研究を重ねた。大した研究にはとても思えないのだけれど、それで京都大学から准教授のイスをゲットする件は、大学院を知らぬ我が身にはとても参考になった。願わくば若者も本著を読み、研究者になる道を模索されたし!!

 

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)